妄想族やらしてもらってるアユミです。管理人Pierreのまあ親戚みたいなもんです。かなり痛い女なんで、覚悟のある人だけどーぞ。
~中学3年/宣之の場合~
登校中、私は野球部のグランドの横を通過する。
毎朝野球部は朝練をやっていて、私はそのわんさかいる野球部員の中から宣之をさがす。
彼はセンターを守っていて、よく誰にむかってなのか両腕を大きく振っているところを見かけた。
ある朝もいつもと同じように宣之を捜しながら歩いていると、グランドの逆側の土手から黒色に身を包んだ忍者のような奴らが駈け下りてきた。
私は「やつらだ!」と思いあわてて走り出す。
命の危険を感じた私は一目散にグラウンドをつっきった。
突然駆け込んできた女(私)に野球部の部員たちは呆気にとられている。宣之も同じで、驚いた顔でこちらを観ている。
野球部には私のことを知っているやつはたくさんいるから、あちこちから「なにやってんだよ!!」という声が聞こえてくる。
しかし、私が何者かに追われている事に気がつくと、叫ぶのをやめた。
私にはナイフが飛んでくる。それを何とかよけながら走り続ける。しかし、ナイフのひとつが私の左腕をかすめる。
バランスを失った私は前のめりに転びそうになったが、そこにすっと腕が伸びてきた。
宣之だ。
私を抱えた状態で彼は「なにやってんだお前」と言った。私は、「まあね、あたしも色々忙しいわけさ」と答える。
私は宣之から離れて、近くに転がっていたナイフを私を追ってきた奴のひとりに投げた。
それはすっと男の太ももに吸い込まれて男は転がった。他の仲間たちの動きも一瞬止まる。そして、ケガをしたやつを背負うとさっと消えていった。
グラウンドはいまだ静まりかえっている。状況が飲み込めないでいるのかもしれない。そりゃそうだ。そんなドラマのようなことが実際に起こるなんて思ってもみなかっただろう。
ふと、宣之と目があう。
私ははっとして大声で「失礼しましたっ」というと、慌てて学校に向かった。
背後からなにやらガヤガヤと聞こえてきたが、私は振り返らなかった。
始業チャイムが鳴って、クラスの野球部の男子たちも教室に戻ってきた。宣之もだ。
誰も、今朝あったことにふれることはなかった。口に出してはいけないと思ったんだろう。
チャイムが鳴ってもなかなか先生は現れなかった。朝の会議が長引いているのだろう。
教室は自由時間のようにガヤガヤしていた。
私は今朝ケガをした左腕に痛みを感じ、とりあえずトイレにいって様子をみることにする。
教室を出ようと後ろのドアにむかったとき、ちょうどそのドアのところに席があった宣之が私を呼び止めた。
「え?」といって宣之のほうをみると、彼は「ん」と言って消毒を私に渡した。
野球部の彼は、いつも消毒やら絆創膏やらを常備しているらしい。
「あ、ありがと。」と言ってそれを受け取り、私はトイレにむかった。
なんだか、ふたりだけの秘密ができたようでくすぐったかった。
トイレから戻ると、さりげなくことっと消毒を宣之の机に置き自分の席に戻った。
End
【コメント】当時、聖龍伝説というドラマがやっていて前日にたまたまそれを見たせいで、命を狙われる設定になったんだと思う。
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